人間の歯は28本あります。来院されている方と話をしていると、『28本もあるのだから、1本ぐらい無くなっても大丈夫』という方が多いことに驚かされます。
奥歯を1本失ってしまった場合、かむ力は、本来と比べどのくらい落ちてしまうと思いますか?
実は50%程度に落ちてしまいます。ご存知でしたか?
また、歯を失ってしまった場合には、放置しておくと、失ってしまった歯の両脇の歯が倒れこんでくるとともに、上の歯が下に落ち込んできますので早目の治療が必要になります。
そのまま放っておいても大丈夫と思っていませんでしたか?
このように歯を失った場合に関しての知識がまだまだ一般の方には浸透していませんので、まずは以下の文章を読んで、デンタルIQを一緒に高めていきましょう!
歯を失ってしまった場合には、①インプラント ②ブリッジ ③入れ歯の3つの選択肢があります。
それぞれの治療法の特徴についてご説明していきます。
インプラント治療は、歯を失ったところを回復する治療としては、
現在の歯科医療で実現可能な最先端の治療方法であるといえます。
インプラント治療では、歯を失ったところに人工の根っこを埋め込み、その上にかぶせものを装着することで、かむ力を本来の90%程度まで回復することが可能です。周囲の歯に与えるダメージもなく、見た目にもほとんど自分の歯と区別がつきません。
また、しっかりとしたメンテナンスを継続することで10年経過後のインプラントの残存率は90%以上と、他の治療方法と比較しても圧倒的に成功率の高い治療法であり、インプラント治療が現在の歯科医療を大きく変えたといわれているほど画期的な治療方法であるといえます。
ただし、最先端の治療方法であるため、保険の適用範囲外の治療方法となります。
インプラント治療が普及する以前は、歯を失った場合の第一選択として考えられていたのが、ブリッジによる治療法です。
ブリッジによる治療では、失った歯の両隣の歯を削って、土台をつくることで、両端から橋渡しをするような形で失った歯を補うようにします。
見た目には歯の本数が増えたように見えますが、実際には、失った歯の分を両端の歯で支えていますので、かむ力は本来の60%程度となります。
また、ブリッジの8年経過後の残存率は50%程度と低く、支えとなっている両端の土台となった歯を抜歯しなくてはいけないケースも多く存在するというリスクをしっかりと認識したうえで治療を進めていくことが大切です。
ブリッジは、使用する材料に応じて、保険適用されるものと保険適用がされないものを任意で選択することが可能です。
※インプラント治療ではブリッジ治療と異なり健康な歯を削ることはありません。
入れ歯による治療は古くから行われている方法です。
失った歯の本数に応じて、様々な形態の入れ歯が存在します。
入れ歯のかむ力は、30%程度と言われています。3つの治療方法の中では、一番安定感がないだけではなく、『入れ歯は歯を壊す装置』といわれるほど、入れ歯をひっかけている歯がその負担に耐えられずに抜歯しなくてはいけないケースが多いといえます。そのため、入れ歯は4年程度で50%以上の方が作り直している治療方法です。「家族と一緒に食事に行っても自分だけメニューを変えなくてはいけない」「旅行にいったときなどは、隅の方で隠れながら入れ歯を外している」など生活の質を落としてしまうのも入れ歯の欠点であるといえます。
インプラント治療やブリッジによる治療ができない場合に最終的に選択する治療方法であるといえます。
入れ歯は、使用する材料に応じて、保険が適用されるものと保険適用がされないものを任意で選択することが可能です。
詳しくは入れ歯を参照下さい。
※インプラントは入れ歯のようにズレ、がたつきがなく、自分の歯のようにおいしく食事ができます。
この表の見方を説明します。非常に大切なことですので、面倒くさがらずにご参照下さい。
4年経過後に50%の入れ歯が破損・不具合などで作り直しになります。
8年経過後に50%が破損・不具合などで作り直しになります。
10年経過後でもわずか4%のみが破損・不具合で作り直しとなります。
50%に到達するにはまだまだ時間的余裕があり、しっかりしたメンテナンスを行っていれば、生涯を通して使用できることが分ります。
この統計により、インプラントが他の治療法と比べどれだけ安定性・信頼性があるか理解して頂けたと思います。
一口にインプラント手術と言いましても、数種類の術式があります。
術式は大きく3つに分かれます。1回法、2回法、即日(1日)インプラントです。
以下、それぞれの特徴を示します。
手術回数 | 歯ぐきの切開 | 仮歯装着までの期間 | |
---|---|---|---|
2回法 | 2回 | あり | 3~6カ月後 |
1回法 | 1回 | あり | 3~6カ月後 |
即日インプラント | 1回 | なし | 手術日 |
これらの術式は患者様の骨の状態により使い分けることとなります。
・骨の状態:良好→即日インプラント
・骨の状態:普通→1回法
・骨の状態:悪い→2回法
1回法・2回法は以前から行われていた一般的な術式です。
即日インプラントは最先端のインプラント術式です。まずは一般的な術式(1回法・2回法)の治療手順をご説明します。
-「1回法」では下記のStep4の工程を省くことになります。
Step3でStep4の工程まで行います。
手術が1回で済むことにより、患者様のお体への負担を軽減できます。
-その日のうちに仮歯が入る「即日(1日)インプラント」の詳細は最先端インプラントQ&Aを参照下さい。
問診、採血、口腔内検査、X線検査、CT検査などの数十項目にわたる診断を行ないます。
※当院でのCT検査は提携専門機関との連携で行なっております。専門機関と提携することで、より正確なデーターが取得可能となり、このデーターに基づく治療を行なうことで、より確実・安心な治療が可能となります。
虫歯、歯周病などがあれば、インプラント治療前にそちらの治療をしていきます。
インプラントを埋め込みます。治療は1日で終了します。手術後は、インプラントと骨の結合を待ちます。上あごでしたら6ヶ月、下あごでしたら3ヶ月の期間がかかります。
インプラントと骨が結合しましたら、人工歯を取り付けるための部品を連結し、歯ぐきから露出させます。この治療も1日で終了します。手術後は、歯ぐきの治癒期間として2週間~4週間ほど期間を開けます。
インプラントに取り付ける人工歯の作成期間として1週間~2週間ほど時間を頂きます。
天然の歯と見分けがつかない人工歯をインプラントに取り付け完成です。
この作業も1日で終了します。
-「インプラント症例」 ビフォア・アフター-
手術日に仮歯まで入れてしまう「即日(1日)インプラント」とはどのようものですか?
新しいインプラント治療法で、手術したその日から食事ができる画期的な治療法です。
今までの治療法では、仮歯を装着するまでに、インプラント埋入後、3~6カ月の治癒期間を置かなければならず、患者様の肉体的精神的負担は大きいものでした。
しかし、この治療法の開発により、患者様の負担は大幅に軽減されることになります。
※即日に取り付ける歯はあくまで「仮歯」ですので、3~5ヶ月後には最終的な人工歯に取り換える作業が必要となります。
下記に即日インプラント(左)、1回法(中央)、2回法(右)を比較した図を掲載します。
それぞれ1回目の手術でどの程度まで治療が進行するかをご覧ください。
メリット1
歯ぐきを切開しない(フラップレス)ため、出血や術後の痛み・腫れが少ない。
メリット2
その日のうちに仮歯を装着するので、手術日からおいしく食事ができます。
メリット3
頭顎部専用CTやさまざまな診断器具を使った確実な診断を行って治療するので安全性が高い。
メリット4
治療期間の短縮、手術回数の短縮による患者様の肉体的精神的負担の軽減。
All-on-4(オール・オン・フォー)という治療法はどのようなものですか?
即日(1日)インプラントの一つで、総入れ歯・全ての歯をなくした方のための最先端
のインプラント治療法です。
従来、すべての歯を失った方にインプラント治療を行う場合、骨の移植をしたり、10~14本のインプラントを埋め込むのが一般的でした。
そのため手術時間が長くなり、術後の腫れも大きく、費用があまりにもかさむというデメリットがありました。
しかし、All-on-4(オールオンフォー)は、4本のインプラント埋入だけで治療を行いますので、治療期間、費用の負担を必要最低限に抑えることが可能となります。
※症例によっては埋め込むインプラントの本数が増えることもあります。
メリット1
インプラントの本数を減らせるので、大幅に治療費を軽減可能。
メリット2
治療期間を劇的に短縮できる。
メリット3
手術当日からおいしく食事ができます。
メリット4
入れ歯と異なり固定式ですので、取り外しの必要もなく外出や旅行を楽しめます。
メリット5
骨の移植が不要となり安全です。
Nobel Guide(ノーベルガイド)とは何ですか?
CTデーターをパソコンソフトに取り込むことで、
事前に手術のシミュレーションが可能となります。
結果、インプラントを埋め込む位置を正確に把握
することが可能となり、歯ぐきを切らない手術が
可能となります。歯ぐきを切らないため、
術後の腫れや痛みはほとんどなくなり、
また手術時間や治癒期間も大幅に短縮されて、
患者様の負担が大きく軽減されることとなりました。
また、あらかじめインプラントを埋め込む位置が正確に判明するので、術前に仮歯を作っておき、インプラントを入れたその日のうちに仮歯を入れて帰ること(即日(1日)インプラント・All-on-4)が可能となります。
先日、他院で「骨の量が少ないので治療できません」と言われました。何か方法はないのでしょうか?
あります。
GBR法・ソケットリフト法・サイナスリフト法という骨を再生・移植する方法で骨の量を増やすことにより、インプラントを埋め込む土台を作ります。
当院ではこの治療法にも対応していますので、まずはお気軽にご相談ください。
インプラント治療はどんな人でもできるのでしょうか?
事前検査の結果によっては、稀に治療に不適応な方もいらっしゃいます。具体的には下記のような方です。
①成長過程にある若年者の方
※骨の成長がほぼ終了する20歳以上の方がインプラントの治療対象となります。
②免疫不全の方
③1型糖尿病の方
④常的ホルモン治療・放射線治療を受けている方
また、インプラント治療不適応ですが、生活習慣の改善や、治療による症状改善により、インプラント治療が可能となる場合があります。具体的には下記の方になります。
①お口の中の清掃状態が悪い方
②歯周病の方
③インプラントを埋め込む骨の厚さが少ない方
④喫煙者
⑤骨粗鬆症の方
⑥2型糖尿病の方
インプラント手術は痛いですか?
麻酔をしますので、手術中の痛みはありません。術後は腫れが生じることもありますが、通常は1日~2日で治まります。
インプラント手術のために入院する必要はありますか?
入院の必要はありません。手術当日に帰宅できます。
治療費はどのくらいするのでしょうか?
インプラントには保険の適用がありません。自費診療となります。費用はインプラントの本数、取付ける人工の歯の種類、お口の中の状態により人それぞれ異なってきます。まずは担当医とよく相談してからの判断となります。
インプラント治療の前にどんな治療が必要ですか?
虫歯や歯周病がある場合は、そちらの治療をしてからインプラント治療に入ります。また、インプラントを埋め込む骨の厚さが足りない場合は、骨の再生治療、骨の移植をすることもあります。
インプラントはどのくらいもつのでしょうか?
インプラント自体はチタン製なので半永久的に機能します。しかし、お手入れがしっかりしていないと通常の歯と同様に歯周病のような状態になり、インプラントの周囲の歯がやせてきてぐらぐら動いてきてしまいます。しっかりとしたメンテナンスをすることで、10年経過後も90%以上の方々がインプラントを快適に利用しています。
お口のお手入れはどのようにすればいいのでしょうか?
インプラントの寿命はお口のお手入れの仕方で決まります。歯ブラシだけではなく、歯間ブラシも重要となります。担当医や衛生士からお口のお手入れ方法の指導を受け、日頃の清掃に心がけてください。必ず定期検診を受け、担当医からチェックと指導をしてもらうことが大切です。